「好きだよ。」 「は?」 今なんて? 私は今まで眠たくてしょうがなかったことなんて忘れて勢いよく顔を上げた。 だけどその数秒後に発せられた彼の言葉にまたがっくりと肩を落とすはめになる。 「はほんとにチョコレートが好きだよね。」 「え?ああ、うん。」 思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。 自分の勝手な聞き間違いに恥ずかしくなる。 いくら眠たかったからといってこんな自分の都合のいい部分だけが聞こえてしまうなんて。 そして今日はじめて、真面目に勉強していなかったことを後悔した。 よくよく考えれば、チョコレートを好きなのは彼も一緒ではないか。 私はいつも必ず持ち歩いているチョコレートを半分彼に差し出しながら考えていた。 あいのかたち おかしい、どう考えてもこれはおかしい。 さっきから同じような聞き間違いが何度も続いていた。 いくら私でも、さすがにそう何度も聞き間違う程ぬけてはいないはずだ。 「あの、リーマス?」 ここは一つ、勇気をふり絞って聞いてみることにした。 「なに?」 「えっと、あの、ねぇ、その。」 だが、彼を目の前にいざ話そうとするとそううまくはいかない。 聞こうとしたところで、一体なんて聞けばいいんだ。 私の事好きなの?・・・・・だめだ、絶対聞けない。 もし聞き間違いだったとして、なんて自意識過剰な子なんだろうと思われるのは嫌だ。 口ごもった私を不審に思ったのか、その後先に口を開いたのは彼のほうだった。 「ごめん、」 「え?」 なにが? もしかして、リーマスは私が自分を好きなことなんかお見通しで告白する前にふられちゃったとか? それだけはどうしても遠慮したい。 酷いよリーマス、そう言うと彼は何の話?といつもどうり微笑んでいた。(あれ?違うのかな。) 「今日おかしな事ばかり言って君を困らせたんだ。」 あまりにもの反応が可愛かったからつい、と反省しているようなしていないような彼の言葉は、それでも私を驚かすには十分だった。 「え、じゃぁ今日のは全部聞き間違いじゃ無かったって事?」 「・・そうなるね。」 「じゃぁ、あの、好きって・・?」 「ほんとだよ。」 リーマスの言葉は私の言葉から数秒もたたないうちに発せられる。ほぼ即答だった。 ちょっとまってちょっとまって、ちょっとまって、頭の中が混乱してパンクするんじゃないかと思った。 だけど彼がいる前でおどおどなんてしていられない。いたって冷静に口を開く。 「それは、告白と受けとっていいの?」 「僕はそういうつもりだよ。」 君が好きなんだ。 今日何度も聞いたはずのその言葉は、私の心を一段と跳ね上がらせた。 「私も好き。」 (まったくあなたは、私をどれだけ喜ばせたら気が済むの) |