そう、出会いは最悪。












M E M O R Y













「あれ、一馬・・・背縮んだ?」

あと心なしか目つきも前より悪くなったような。


カフェ前でばったり出くわした一馬にそういうと、凄い形相で睨まれた。

反抗期か!




「は。誰に向かってもの言いとんのやお前。」





「え、一馬じゃないの?」

そういえばなんか訛りが入ってる。


九州かな?





「かずまって誰たい。俺は功刀一じゃけん。」





「功刀?生き別れになった一馬の双子の弟とかでは無いですよね?」




「お前バリしつこか。」


だってホントに似てるだからしょうがないでしょうが。

そう言いたいのは山々だけど、この人に言っても怒られるだけなので黙っておく。


でも功刀さんは本当に一馬とは無関係だと言っていた。



他人の空似ってやつかな。









「ここで会ったのも何かの縁たい。お前も一緒にどうや?」

そしたら今の事は水に流したってもええ。




そう言われて、どうせ入るつもりだったし別にいいかと思い一緒にカフェに入ることにした。


顔は怖くても案外いい人なのかもしれない。

たまに言ってることが理解できないけど。


恐るべし九州弁。









それが彼に対しての私の第一印象だった。














・・・・・・・・・・・















「あん時は小生意気な女やと思ったけんな。」


「そうなの!?」


うわー、初耳。


私は目つきの悪い人だなって思ったけどね。

そう言ったら睨まれたのでお互い様だよと流しておいた。










「ねぇカズさん。」







「・・・・」








「なんで無視するかな。」





「お前がそがん顔で"カズさん"言うときはろくな事無いけん。」


酷いな。私はいつだって真面目なのに。








「カズさんは私のどこが好き?」


ね、真面目な話でしょ?


恥ずかしさを紛らわすために付け足しでそういってみたけど、
カズさんは耳まで赤くして硬直してたので多分聞いてもいないと思う。



こういうところは一馬にそっくり。



カズさんと一馬が並んだらかわいいだろうなぁ。






真面目な話だとか言っておきながら頭の中はそんな事ばかり。


カズさんもそれに気づいたのか、何ニヤけとうと。って少し怒っていた。









「ねぇ、それでどこが好きなの?」



カズさんあまりそう言うこと言ってくれないから今聞かないと一生言ってくれなさそう。

そう思ったのでまた話を切り出してみる。



そしたらお前はどうなんだと聞き返された。









「私はね、カズさんの良いところも悪いところも全部含めて大好きだよ。」



「ふ、ふん。」


カズさんは、顔を赤くして褒めても何も出んぞとそっぽ向いた。









「それでカズさんは?」


私だけ言わしといてカズさんは言ってくれないの?













「・・・・・・・・」

カズさんはホントに困ってた。

顔は相変わらず赤いまま。













その姿があまりにも可愛くて私は思わず笑い出してしまった。



「嘘だよ、良いよ別に。」

カズさんが私の事好きだって言ってくれるだけで嬉しいから。






さ、そろそろ帰ろう。


その言葉で席を立った。

















後ろからカズさんの声。






「何?」























は全部かわいか。俺もの全部が好きやけん。










カズさんと私の出会った思い出のカフェを出る直前、彼のそんな言葉が聞こえた気がした。



















END













リクエストのカズさんでした。
人意外の指定は特に無かったのでほのぼの系にしてみました。
中途半端ですみませ・・
こんな文でもお楽しみいただけたなら幸いです。
ちなみに最後の「  」は反転してみれば見えますので。見たいかたはどうぞ。