「、起きろよ」
ぐらぐらと揺らされる感覚に、眠たい目を擦り無理やりにこじ開ければ、光宏がやや不機嫌で私の上に馬乗りになっていた。(あ、まだ夢か)そしてもう一度目を閉じると、何だか今度は息苦しくて目が覚めてしまった。(もうなんだんだ今日は)
「ん、な、なに」
「やっと起きたか」
目を開ければ誰かの顔があった。視界は眠くてぼやけるが、どうやら先程馬乗りになっていた彼は夢ではないらしい。そして同時に息苦しさの正体も理解した。(こ、こいつ花も恥らう私の唇を!)
「なにすんの」と問えば、光宏は上に乗ったままの格好でにこりと笑い「お前がなかなか起きないのが悪い」と責任を押し付けた。(わあ、とっても自己中心的ですこと)
時計を見れば、短い針、長い針共々12時をさそうとしている。いったいこんな真夜中に私を起こして何をしようというんだこの光宏様は。
「こんな時間に、夜這いでもしにきたわけ?」
私がそう言えば、彼はまさか、と微笑んだ。(嘘付けこのキザ野郎)
「、おれがわざわざこんな時間に部屋までやってくるってことは、結構重大な用事があるってことだよ」
「へー、それで用事って?」
「・・・・」
お前もう少し自分で考えようとか思わないわけ?そう光宏が口にしたが、私にはただめんどくさい事のように感じられて、また睡魔に教われ閉じかける瞳をぐいぐいと擦り、飛びそうになる意識を戻した。そう、私はとても眠いのだ。
だが、先程無理やり睡眠を妨げ、挙句の果てに唇まで奪い、おまけに何しに来たのかわからないという目の前の少年は、当分寝かしてくれそうには無い。
私はため息をつきながらも、彼が早く帰ってくれるようにと話に集中した。
「お前ほんとにわからないのか?」
「だから悩んでるのよ」
そう言えば、光宏は馬鹿だなとはにかんだように笑うので、なぜかとても気になりカレンダーに目を向ける。その日は至って普通の日で、ただ一つ気が付いたことといえば、その日が私の生まれた日だという事だけだ。いやでもまさか、(ありえない)あえて口にせず固まっていると、部屋の時計が一際大きな音を立てて動いた。
「、誕生日おめでとう」
愛してる、と囁いた彼を見て目を見開けば、再び唇がふさがれる。
070803
愛を 叫ぶ、君だけに