「おまえさ、嘘ばっかついて楽しい?」 ベルがそう言った。 嘘をつくのが楽しいわけじゃないし、好きでもない。出来ることならつきたくないし、もしそんなところがあるとしたら、嘘なんて無い世界で生きてみたい。そう思って毎日過ごしてる。だけどその思いと、口を付く言葉は裏腹で、気が付けばわたしの世界は嘘にまみれていた。誰もわたしの言葉になんて耳を傾けやしない。まるで、狼と少年に出てくる嘘つきな羊飼いの少年のようだ。何度も村人を騙していた嘘つきの少年は、いつしか誰にも相手にされなくなり、たとえそれが本当のことでも誰にも信じてはもらえなくなる。わたしはそんな羊飼いの少年のように嘘に埋もれて、今では誰に相手にしてもらえない。本当はこんなこと望んでいなかった。だけど、 「楽しいよ、すごく」 「へー、どこが?」 「他人が馬鹿みたいに騙されてくれるところが、かな」 「お前いい加減嘘つくのやめたら?」 嘘なんかじゃない、嘘なんかじゃない。そう言っても彼にはわかってしまうのだろうか。ベルは、俺に嘘ついても無駄だと奇妙な声で笑った。たとえるとするなら、悪魔のように。 「・・・ベルだって嘘ばっかりじゃない」 「俺はいいの」 「王子だから?」 「そう」 今更何を言っても無駄なら、本音を隠して生きていくほうがずっといい。誰かに騙されるくらいなら、相手を騙してやりたい。そうやってずるずると生きていた今の自分。だからこうやって自由気ままに、嘘だって本当にしちゃうようなベルが少しうらやましく感じるときだってある。(末期かしら) 「私だって、」 わたしだってこんな自分やめたい。このまま誰にもほんとの自分をさらけ出さずに死ぬより、だれかに頼って助けを求めたい。自分の世界を変えてみたかった。誰でも一度は考える、人生をやり直したくなるときがたった今やってきている。 「私だってやめたいよ」 「やめればいいじゃん」 「そんなの無理だってベルもわかってるでしょ?」 わたしが今更正直になったところで、この世の中は何も変わってくれないのだ。それをわかっていてやめろと言うなら、彼はとても酷な事を言うと思う。 「、」 彼は本当にひどい人だ。こんな自分を(遠回しにだけど)好きだというのだから。 「私ベルのこと嫌い」 もう一度言う。私の言うことは嘘だらけだ。本当は嘘で、嘘は本当。本当に分かりにくい。そして自分でもそれが嘘なのか本当なのかわからなくなってしまった。羊飼いの少年は、嘘にまみれて真実を見失ってしまったのだ。それなのに彼はなぜか、わたしの嘘を意図も簡単に見破ってみせる。これは、彼も嘘つきで、わたしたちが似たもの同士だからかもしれない。 「嘘ばっかだな」 「いいのこれで」 だってベルはわたしの嘘も本当も、全部わかってくれるでしょう?彼と一緒なら、世界を変えられるかも、この場所から抜け出せるかもしれない。 そう、わたしたちの世界はみんな 嘘だらけだ |