それからのさんはよく仕事をするようになった。僕が呼ばずとも応接室にやってきては言われた仕事以上の事を片付け、草壁もそんな彼女をよく褒めている。草壁と彼女が仲良くなるのは気に食わないが、まあよしとしよう。僕は体育館裏で騒いでいた虫どもを噛み殺しながら、どうやって彼女をその気にさせようか考えていた。(つまりそういうことだ)




「雲雀さん遅いですねー!」
「そろそろ帰ってくる頃だ」

もう仕事を終わらせて、やることもなくなった私は 同じ部屋の草壁さんとたわいも無い会話をして時間をつぶしている。あれから一ヶ月ほどが経ち、私は彼のことを雲雀さん と呼ぶようになった。(彼は相変わらずさんって呼ぶけど)(下の名前で呼ばれても気持ち悪いからいいや、、)雲雀さんは最近少し優しくなったような気がする。気のせいでもなんでもなく、草壁さんも同じように感じるほどには変わっているのだと思う。喜んでいいのかどうか私にはまだわからないけど とりあえず今はこの状態が続けばいいと思う程度には居心地が良かった。(それは同時にとてもじれったくもあるのだけど)

「(神様どうか私に勇気をください!!!)」
さんなにしてるの」
「あ、おかえりなさい雲雀さん何ですかその不審者を見るような目は」
「なんでもないよ」

「あ、草壁さんお出かけですか?」
「ああちょっとな」
「そうですか気をつけて」なんてたわいも無いどこにでもありそうなやり取りをしていたはずなのですが、これがどうしてか(私にも良くわかりません)

「えっと?雲雀さん?」
これは、自分とソファーをはさむようにして見下ろしている彼に向けた言葉である。
「なに?」
そしてこちらは私が見上げる形になっている人物の言葉。

「え?」
私がこうなるのも当然のことだ。だって、だってあの雲雀恭弥が、女の子(しかもわたし)を押した(おおおおした、おおおおした)おすなんて いや仮にも思春期真っ盛りの男の子ですけどでもだってあの雲雀恭弥が(省略)


「おおおおちついてください」
「君がね」
落ち着けませんよこんな状況でーーーー!!!!


「っていう夢を見ました雲雀さん」
「いやそれ夢じゃないから」
「へ?」


(いやいやいや、)私とは反対に、彼の顔はニコリともしていなかった。(つまり、どういうこと?) 首を傾げる私に、彼は先ほどの夢の結末と同じようにこう言うのだ。


「僕のものになれ」







( はい!!!!!! )(うるさい )

恋に落ちた瞬間


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