昨日は結局、雲雀恭弥が戻ってくるまで書類整理+αを本当にみっちりやらされた。おまけに草壁さんという有能(かどうかはちょっと怪しいけど)な見張り付きで、前回のように大人しくしているわけもなかった私は何度か逃走を試みたがそれは彼とその仲間達に見事に遮られる。(ていうかおまえ等こんなことしてる暇があったら仕事しろよ!!!)そんなこんなで、暗くなった頃帰ってきた雲雀恭弥に私なりに勇気を振り絞って文句をつけるが「うるさい」と一言軽くあしらわれた。わかってはいたが。(なんだろうこの扱い) 「どこ行って来たんですか?」 ふと視界に入った学ランの間から見えるカッターに、赤いしみがいくつもできているのを見てしまった。。 「ゴミ処理だよ」 「(まさかの風紀委員長がゴミ捨て・・)」 想像するだけで笑ってしまいそうな絵だ。 半信半疑のまま「そうですか」と答えると、思っていたことが顔に出ていたのか「何か文句でもあるの」と睨まれた。それに負けじと睨み返すと「ワオ」とわけのわからない言葉を発し、わたしがそれに目を丸くしていれば「全然怖くないけどね」と付け足す。会話を聞けばわかるように、彼は少し人とは変わった性格だった。(変わった人間 と言った方が正しいかもしれない) じゃああれはなんだったんだろうと赤いしみの正体が気になったが、この時のわたしはそれがゴミと言う名の人々を咬み殺した返り血だなんて知る由もなかった。噛み殺すといっても実際噛むわけではないらしい。少し前に聞いたら罵られて噛み殺すと言われた後殴られたのでたぶんそういうことだ。(あの時も痛かった) 赤い染みの正体が知らされたのは何日か後、見てわかるほど体中に傷を追って血まみれで帰って来た彼を見た時だ。そしてその日は案外直ぐやってきた。わたしは血まみれの雲雀恭弥を見て「どうしたんですか!?」と声を張り上げたが、彼は大して興味無さそうにこちらに目だけを向けて「別に大した事じゃないよ」と切り捨てるのだが、それが多少頭にきたわたしは「大した事無いわけないじゃないですか・・・!すごい血ですよ」大量出血で死にますよ!と思わず彼の言葉を批判した。普通に生活している人は目にすることの無いような血の量だ。驚かない方が可笑しかった。私の勢いに彼も少し驚いたようだが、実際そんな自分が一番驚いている。こんな奴気に留めることないのにと思うが、命がかかわれば別だ。彼は私が心配するのも当然のひどく痛々しい傷を負っていた。こんなに平然と立っていられるのが不思議なくらいに。 「君には関係ない」 その言葉に胸がちくりと痛む。だけど負けじと言い返した。 「関係ありますよ!同じ委員会の仲間なんですから!」 「仲間?そんなものいらないよ」 「何なんですか無理やり入れておいて!!じゃあわたし風紀委員なんて辞めますから!」 「勝手にすれば」 なにそれ、自分から強引に誘っておいてその程度?わたしってそんな簡単に切り捨てられるほどの存在だったの。 本気で言ったつもりじゃない、引き止めてくれるだろうと思っていた言葉に目も合わさず返事を返されれば、鼻の奥がつんとした。それを隠すように「お邪魔しました!」と勢いよく部屋をとび出す。閉ざされた部屋から草壁さんらしき人の声が聞こえた気がしたけど、そんなの気には留めていられなかった。 後は草壁さんが何とかしてくれるだろう。 「なんで」 (嗚呼やっとこの生活から開放される) |
恋に落ちた瞬間
070818