同じ風紀委員だから仲間だと言う彼女。 仲間?なにそれ、そんなの僕には必要ない。 「仲間なんていらないよ」 そう言ったらさんは一瞬傷付いた表情をした。 「何なんですか無理やり入れておいて!!じゃあわたし風紀委員なんて辞めますから!」 「勝手にすれば」 嗚呼イライラする。どうして彼女の事になるとこうも頭が痛くなるのだろうか。たかがどこにでも居るようなただの女子生徒で、偶然出会い偶然声をかけなんとなく委員会に引き込んで、ただそれだけなのにどうしてここまで気にかける必要があるのか。(意味がわからない)彼女の出て行ったドアから視線を外せずにいると、いつから居たのか草壁がさんを呼び止めようと声あげたが彼女が戻ってくることは無かった。 「委員長、良いんですか?」 「・・何が?」 わかっていてそう口にする。 「あいつもう戻ってきませんよ?」 「うるさいのがいなくなって良かっただろ」 いつもと同じ口調でそう言うと、草壁はまだ何か言いた気だったがそれから口を開くことはせず、じっと黙り先程の自分と同じように彼女の出て行ったドアを飽きもせず見つめていた。(何なんだ) * 「おはようございます委員長!」 次の日も、朝から風紀委員のやけにうるさい挨拶が耳に入る。いつもなら何て事ないのに何故か無性に苛苛した。それを紛らわすように「うるさい」と一番前にいた草壁とよく似た頭の男をトンファーで殴りつければ、今登校してきたのだろう後ろからやって来た草壁本人が倒れたそれを受け止める。彼の「何かあったんですか?」と聞きた気な表情に「なんでもない」とだけ言い放ち、今日も変わらず応接室へ足を向けた。 応接室に着けば、いつもと同じように窓を開け、いつものように待っていた鳥を指に乗せパンを千切ってやる。小さな鳥はぴちぴちと嬉しそうに鳴く。いつの間にか覚えさせてしまったらしい並盛の校歌を歌う鳥を肩に乗せ、そしてコーヒーを二つ淹れて、(砂糖は3つが良いってしつこいくらい何度も言ってたっけ、)そこで気が付いた。(ああ、彼女は来ないんだった) 「失礼します」 考え込んでいるところタイミング悪く入ってきた草壁に「何か用?」と目を向ければ、彼の視線は僕自身ではなく僕の手元のカップに向けられている。 「、迎えに行ってやらないんですか?」 「関係ないよ」 草壁が少し残念そうな顔をしたのも、さんが傷ついた顔をしたのも、僕には関係ない事だった。今まで他人なんか気にしたことも無い。これからもそうだ。だけど応接室で仕事をする気にもなれずかといって授業なんかに出る気も無く、しょうがなく群れを咬み殺しに行こうと廊下を歩いていれば 今一番見たくないであろうものが目に入ってきた。 ( こんなもの迷惑以外の何ものでもないよ ) |
恋に落ちた瞬間
070829